アルツハイマー病が薬によって治る時代到来?!福祉の立場で考察します。


6月8日、衝撃のニュースが報道されました。
世界で初めて、アルツハイマー型認知症を根治する薬がアメリカのFDA(米食品医薬品局)で承認されたと発表がありました。
しかも、日本の製薬大手エーザイとアメリカのバイオ医薬品大手のバイオジェンが共同開発したというのです。
これまで、アルツハイマー型認知症の根治療法はなく、進行をゆるやかにする薬しかありませんでした。

FDAの承認するということは、世界でアルツハイマー型認知症病に対する薬が処方される可能性が高まったことを意味します。
このニュースを受け、福祉職の立場から、今後の日本の高齢者福祉がどんな変化が起きるのか考察したいと思います。

アルツハイマー型認知症とは

2020年の日本の65歳以上の高齢者数は3617万人で、認知症有病率は約602万人(16.7%)となっており、6人に1人程度が認知症有病者と言えます。
なかでも、アルツハイマー型認知症は、認知症のなかでも最も一般的な原因とされています。
進行性の脳疾患で、記憶や思考能力がゆっくりと障害され、最終的には日常生活のもっとも単純な作業(食事、トイレなど)の能力も失われます。
認知症は、もの忘れと見られることが多いです。特に、家族は親のことを認知症になったと思わず、もの忘れがひどくなったと感じるケースがあります。
認知症と老化によるもの忘れの決定的な違いは、忘れたことを覚えているかです。
テレビなどでよく、「もうごはん食べたでしょ?」というお嫁さんに対し、「食べてない!」と発言するのは認知症の可能性が高いです。もし、「あ、そうだった。忘れてた」と発言した場合は、もの忘れです。
認知症と一口に言っても、様々なパターンがあるため、今までと違う行動などのサインが出たときは、専門機関に相談することをお勧めします。
その他、認知症には、脳血管型、レビー正体型などのタイプがあります。
今回FDAで承認されたのは、最も割合の多いアルツハイマー型です。
認知症について詳しく知りたい場合は、こちらからどうぞ。

これまで処方されていた薬

これまでアルツハイマー型認知症に処方されていた薬は4つあります。
日本で有名なのは、アリセプトです。これらの4つの薬は、神経の機能を調整する薬であり、進行をゆるやかにする程度で、治す効果は見られないとされています。
副作用として、食欲不振や、不眠、徘徊などといった報告があります。
一部の先進国では、副作用のリスクが高いため承認していない国もあります。
副作用は、どんな薬でも存在します。
クスリは逆から読むとリスクとはよく言われています。

新薬の名称と期待されている効果

新薬の名称は、アデュカヌマブです。読みにくいですね。
アデュカヌマブは、2019年に有効性の証明が難しいとして臨床試験が中止されていました。
その後、追加データを含めて再解析し、2020年7月に再申請されています。
現時点でも、有効性が担保できているわけではないようですが、利益がリスクを上回るとして承認されたのです。
そのため、今後効果が認められなければ、承認取り消しになる可能性があります。
日本としても、2020年12月に承認申請されています。日本での薬の承認は、安全性などを検証するため、約1年かかるため、年末頃に審査結果が出るかもしれません。FDAの承認が日本の承認につながるかが見ものです。
アデュカヌマブの副作用は、顔中にじんましんがでるなどのアレルギー反応、頭痛、転倒などがあると報告されています。
アデュカヌマブの値段は、高額です。1年で、5万6千ドル(日本円で612万円)と試算されています。
保険が適用されるかどうかが、今後の利用促進につながりそうですね。

日本の福祉に与える影響は?

日本でのアルツハイマー型認知症の方への対応は、主に介護保険制度による福祉サービスが中心です。
介護保険は、基本的には65歳以上の方が対象で、状態によって自立~要介護5の区分に分けられます。
自治体が調査し、自治体の中にある介護保険認定審査会で区分されます。
認知症の場合、進行具合によりますが、要介護1~5の区分判定されることが多いです。
これは、介護度によって、受けられるサービスが異なる点によるものです。
例えば、比較的軽い症状の要支援1という区分になると、ヘルパーが週1回程度利用できます。
要介護3だと、ほぼ毎日ヘルパーやその他看護師などの訪問などをサービスとして導入します。
これらの福祉サービスは、地域包括支援センター介護支援専門員(ケアマネジャー)が調整しています。
日本高齢化率の増加に伴い、認知症高齢者も増加しています。
認知症の方の場合、家族や地域の支えがなければ、自宅で生活することは困難です。
火のつけっぱなし、水の出しっぱなしなどのリスクが高まるためです。
高齢者施設も、認知症の方は多く入所されています。
特別養護老人ホームなど、比較的安価で介護度の重い方が入所している施設は、どこの施設も空きがなく待っている状態が多いです。
地域によっては、100人待ちの施設などもあります。

仮に、新薬のアデュカヌマブが安全で有効であるとすると、認知症が減ることも考えられます。
認知症が減ると仮定すると、
・健康寿命が伸びる
・地域で活躍できる時間が長くなる
・認知症高齢者の施設入所が減る
→地域で生活できる可能性が上がる
⇒地域で支える必要性が高まる(地域の福祉的活動がより一層求められる)
高齢者が、住み慣れた地域で安心して暮らすことができることは、福祉に求められるかたちだと思います。
今後は、より一層、高齢者が地域でどのように社会とかかわることができるかが重要になりそうです。

なお、この新薬の承認を受け、関連する株価は急激に上昇しています。
今後の株価の動きも注目ですね。
今日が一番若い日。

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